前回は、オーストラリアの忘忙庵、シャレーアットブラックヒース(以下「シャレー」と略します)の、忘忙庵とは異次元のモダンで豪華なゆったりとした設備を紹介しました。
今回は、この快適なヴィラに泊まって過ごした一日を紹介しましょう。
一日は日の出から
朝、5時頃目が覚めました。
オーストラリアは夏。サマータイムが導入されており、朝5時はまだ少しだけ空が明るくなってきたところです。
シャレーの近くに、ブルーマウンテンズの数ある展望台のひとつ、「エバンスルックアウト」があり、歩いて行ける距離なので、朝食前に行ってみることにしました。
場所はここです。

シャレーからは1kmほど、歩いて15分のところに、崖っぷちの展望台があります。
途中、グランドキャニオンループ(Grand Canyon)というトレイルの駐車場入り口を右手に見てさらに進むと、

車が何十台も停められるような大きな駐車場があり、その一角にこの付近の案内図がありました。

近隣の自然や、ここから出発できるトレイルや近くのトレイルの解説と難易度の案内、地図などが書かれています。ここで面白かったのは、各トレイルに記されている難易度とその解説です。

ピクトグラムもあり、大変分かりやすくなっています。内容は、
オーストラリアのウォーキングコースの格付けシステム | |
---|---|
グレード1 | ブッシュウォーキングの経験は必要ありません。階段や急な部分のない、平坦で均一な路面です。介助者がいる車椅子利用者にも適しています。歩行距離は5km以内。 |
グレード2 | ブッシュウォーキングの経験は必要ありません。道の表面は固められ、緩やかな丘陵部分や階段が時々ある場合があります。歩行距離は10km以内。 |
グレード3 | ほとんどの年齢層と体力レベルに適しています。ある程度のブッシュウォーキング経験があることをお勧めします。コースには短い急な坂道、荒れた路面、多くの階段がある場合があります。最長20kmのウォーキング。 |
グレード4 | ブッシュウォーキングの経験が推奨されます。道は長く、荒れていて、非常に急な場合があります。道標は限られている場合があります。 |
グレード5 | ナビゲーションや緊急時の応急処置などの専門スキルを備えた、経験豊富なブッシュウォーカー向けです。道は非常に荒れていて、非常に急勾配で、標識がない可能性があります。歩行距離は 20kmを超える場合があります。 |
余談ですが、富士山など日本の様々な登山道も、こんな共通する基準があると海外からの人向けに良いのではないかと思います。
そして、この展望台からアクセスできる渓谷のトレイル、グランドキャニオンのキャニオニング(沢歩き)のところには、
キャニオニング(グランドキャニオン) |
---|
グランドキャニオンは、30mの水泳が必須の、短くてテクニカルな渓谷です。この渓谷では、合計5kmの歩行と 20mの懸垂下降が必要です。この懸垂下降は、体力に自信があり、経験豊富で、ロープやその他のキャニオニング用具を使用する熟練のキャニオナーのみが挑戦できます。パーク エコ パスの認可を受けたオペレーターによるツアーを予約することをお勧めします。 長く続く狭まりを持つこの美しい渓谷は、アクセスが容易なため非常に人気があります。商業ツアーのグループに遭遇する可能性があります。 泳がずに渓谷を歩き終えることはできないので、濡れて体が冷えるリスクを減らすには、暖かい夏の時期に行くのが最適です。 |
とあります。崖の下まで降りて、またその道を上って戻ってくるだけなら、体力があればOKですが、周回コースを踏破するには、泳いだり、垂直ながけを下りたりしないと一周できないなど、相当な経験・装備が必要ということがわかります。
展望台の入り口の看板に沿って進みます。

展望台までは、グレード1です(230mですが💦)
途中、朝ならではの景色に遭遇しました。

谷底が雲海になっていました。雲海大好きな妻は大喜びで写真を撮っていました。
そして、2段になった大きな展望台に着きました。


朝日が当たって、地形の立体感がよくわかります。朝は、観光客も少なく静かで、すがすがしい気持ちになれます。ブルーマウンテンズ地区に泊まっているからこその景色でした。
展望台の柵にへばりついて写真を撮っていると、下のほうを何やら赤いものがうごきました 。

わかるでしょうか? 割と大きな鳥です。木に止まったところをズームして拡大してみると、

先ほどの展望台の解説の看板にあった、Gang-gang cockatoo(アカサカオウム)という鳥かと思いましたが、

体全体が赤いので、ちょっと違う。Googleレンズに聞いてみると、アカクサインコ(Crimson Rosella)というインコの仲間だということがわかりました。インコと言っても30cm近くあろうかという、かなり大ぶりなインコです。木々を飛び回りながら、木の実か何かを食べているようで朝食タイムでした。私たちも、朝食を食べにシャレーに戻ることにしました。
シャレーの朝食は地元ブランドにこだわったハイクオリティーなコンチネンタル
朝食会場は、シャレーの駐車場近くにある、ライブラリーと呼ばれる建物です。

中に入るとこのようになっています。10人掛けの大きなテーブルがあり、

大きな窓越しに、周囲の緑と朝日が目に飛び込み、居心地の良い空間です。

8人分のボールとカトラリーがセットされていました。
そう、この日は4棟満室で、宿泊客が8人ということです。
朝食はコンチネンタルで、ヨーグルトやオーストラリア産のフルーツやアボカド、

飲み物は、コーヒー、紅茶(写真の左の蛇口のお湯側からは、熱湯が出るのにびっくり!)、奥には、Happy Hippieという、オーストラリアのこだわりのスーパーフードで作ったスムージーの瓶もありました。
この日は、カトゥーンバのパン屋さんから届くはずのパンが、パン屋さんのトラックがトラブったとかでまだ届いておらず、スピルリナ(ユーグレナのような藻類)、バナナ、リンゴ、オレンジ、パッションフルーツ、レモンなどが入ったおいしいスムージーを飲み、

ナッツ類や、


フルーツなどを食べながら、パンの到着を待ちます。奥にあるシリアルも、オーストラリア産の食材にこだわった、ウィスク&ピン(Whisk &PIN) というメーカーのものでした。
シャレーのスタッフが、急遽車を走らせて取りに行ってくれたパンが届き、スタッフが手際よくパンコーナーに並べてくれました。

パンのところには、紙袋が用意され、部屋で食べたりランチやおやつのために、持って帰ることもできるようになっていました。
ヨーグルトに入れたり、パンにつける、ジャム、

このジャムも、オーストラリアのビアレンバーグ(BEERENBERG)というこだわりブランドです。
オーストラリア人が大好きな、

ベジマイトという、ビール酵母、タマネギ、セロリエキス、塩、スパイスなどが主な成分の、ペーストもありました。世の中では、「世界一まずいジャム」とも言われていますが、他のお客さんはみな好んでパンに塗って食べていました。
私は、ちょっと酸っぱいサワドーブレッドとバター、

添えられているバターも、こだわりのもので、PEPE SAYAというオーストラリアブランドの発酵バターでした。
あまりにおいしそうなパンだったので、こちらのチーズとトマトとバジル風味のデニッシュを、

夫婦で半分ずつ分け、さらに、クロワッサンをいただきました。

クロワッサンは、こんがりと少し濃いめの焼き色がついていて、端を拡大してみると、

丁寧に折りたたんで整形されていることがわかります。そして、一口食べてみると、
よくあるサクサク、パリパリではなく、「ガリッ」とかたい表面。日本のパン屋さんやPAULなどフランス由来のパン屋さんでは出会わない、個性的なクロワッサンでした。もちろんバターたっぷりで、中はしっとり、噛んでいるとバターが浸みだしてくるようなリッチなパンでした。
最後に、コーヒーと一緒に、レーズンロールまでいただいてしまいました。

ちょっと食べすぎました💦
午前中のウォーキングは、ブライダルベールフォール
こちらの気温は、朝で16℃ほど、夏とはいえ少し肌寒いぐらいですが、昼は30℃ほどになり、お天気が良いと太陽がじりじりと照り付け、外を歩くのはかなりつらいと予想されたので、昼の12時~3時ぐらいまでを避けてハイキングを楽しむことにしました。朝食をたくさん食べたので、しっかり腹ごなしをしなければなりません。
近隣の展望台を調べてみると、ブラックヒースの街近くにある、ゴベッツリープルックアウト(Govetts Leap lookout)へ行くと、滝が見られるといことがわかり、行ってみることにしました。
A32号線をブラックヒース駅の少し前で右折し、ブラックヒースの街の目抜き通りを突き当たりまで3kmほど進むと、
大きな駐車場があります。人気の観光ポイントらしく、かなのり台数が止められますが、カトゥーンバやルーラの展望台と違って、駐車場は無料なので、ここに車を置いて、一日トレイルウォーキングに出かける人も多いようです。
トイレや、

雨天でもお弁当を広げたり、一休みできるピクニックエリアが完備されています。

展望台に出ると、ここもまた、180°を超える絶景が広がっています。左側はこんな感じ。

正面は、

右側は、

写真ではとても全容をお伝え出来ないのが残念です。そして、この写真の奥の方に滝があるのがわかるでしょうか?
これが、ブライダルベールフォールです。望遠で大きくしつつ動画で撮ってみました。
風に吹かれて、左右に柔らかになびいていて、その名のとおりブライダルベールのように見えます。
滝上を経てバローズルックアウトまでちょっとウォーキング
駐車場の展望台入り口まで戻り、あらかじめ目星をつけておいた、お手頃なトレイルウォーキングを目指します。

今いるGovetts Leap Lookoutからちょっと南にBraidal Veil Fallがありますが、そのさらに南に、Barrows Lookoutという展望台があります。ここまで、行きは15分でいけるようなので、行ってみることにしました。
先ほどの滝の写真をよく見てみると、

黄色い丸のところに、展望台があります。今いるところからここまで歩いて行けるのです。
最初は、崖沿いの緩い上り道を進みます。

そして、山道は次第に下りになり、だんだん、急な階段になります。こんなに降りたら帰りが大変!と思い始めたころ、水の流れる音が聞こえてきました。

階段を下り切ったところに、沢が流れているようです。
その沢を渡れるようになっていました。そして、

左の下流の方を見ると、

そう、まさにブライダルベールフォールの滝の落ち口のすぐ上でした。
ここから、急な階段を上ること数分、展望台に着きました。歩いて来たほうを振り返ってみると、あちらにも、別の滝が見えていました。

Horseshoe fallsという滝です。
また、今渡ってきたブライダルベールフォールの落ち口も見えます。

絶景を楽しんで、元来た道を引き返します。車だと、往復して戻らないといけないですね。途中、トレイルの分かれ道に道標がありました。

ここまでは、下り中心で15分でしたが、帰りは長い階段の上り中心で倍の30分かかります。
真ん中に、「Evans Lookout2.5km 1-1.5hrs」とあります。エバンスルックアウトは、今朝日の出を見たところです。トレイルのグレードは3なので、ある程度のトレイルウォークの経験があればほとんどの年齢層と体力レベルに適しているということなので、次の機会には歩いてみたいです。
ゴベッツリープルックアウトに戻るころには、お昼近くなっていました。ブラックヒースの街で夜のための食材を買いだして、ランチのためにシャレーに戻ることにしました。
ブラックヒースの街にはスーパーが2軒だけ
ブラックヒースは、ルーラよりも小さい街で、目抜き通りの雰囲気はこんな感じです。

そして、目抜き通りにはスーパーが1軒

フレンドリーグローサリーというお店で、お店の中は、所狭しと肉、野菜などの生鮮をはじめ調味料、缶詰、日曜雑貨など、思いつくものはたいていそろっているというお店でした。そして、もう1軒は、表通りのM32に面したガソリンスタンドに併設されたコンビニ的IGAでした。
こちらのIGAで食材を買ってシャレーに戻りました。
ランチのおかずはバーベキューで
ランチのおかずはベランダのバーベキューコンロで作ることにしました。

Weberというバーベキューグリル専業メーカーのものです。
ホームページを見ると、熱源は炭、ガス、電気があり、それぞれに個人キャンプ用から大型のものまでいろいろなタイプがラインナップされています。
蓋を開けると中は、

このようになっていて、熱源はガス。バーナーが下にあり、半分鉄板、半分が網になっており鉄板焼き、網焼き、蓋を閉めれば、温度計付きのオーブンとなりグリル料理を作ることができます。右のつまみで、大小のバーナーの火加減も簡単です。
食材は、厚切りポークと、

オージービーフのひき肉を利用。
BBQコンロの蓋をして、200°以上になるまでしっかり余熱。

オージービーフのひき肉は、味をつけたりこねたりせず、そのまま軽く固めて、鉄板に載せます。網のほうにポークを並べ、

火を最小にして、190°ぐらいまで温度が下げてそのままキープ。私が付きっ切りで肉を焼いている間に、妻がサラダとパン、お茶の用意。緑に囲まれたベランダのガーデンテーブルでいただきます。

ポークの片面が先に焼きあがりました。そして


ビーフも。
焼き色が付いたら、裏返し、中までおおむね火が通るまで、10~15分ほど。

ランチの完成です。盛り付けがド素人ですが💦そしてお皿が大きいので寂しく見えますが、結構なボリュームで美味しくいただきました。
にわかに雲行きがあやしく
ランチ後、お昼時は日差しがきついので、部屋を抜ける涼しいを感じながら、暑い時間帯をのんびり過ごしていると、にわかに空が暗くなり怪しい雰囲気になってきました。

夕立? 午後も近場のトレイルウォーキングに出かけようと思っていたのですが、雨に降られたのではたまりません。そこで、オーストラリアの雨雲レーダーはないかと探してみました。
このサイトの情報によれば、ブラックヒースは雨雲の端がかかっていて、あと30分もすれば雨の心配はなくなりそう、ということがわかりました。
そこで、30分ほど待ってから、あまり遠くには行かず、朝日を見たエバンスルックアウトまで、散歩に行くことにしました。
シャレーの敷地にもいろいろな動物が
ランチを食べていると、ベランダには、こんなカラスのような鳥が来たり、

ヴィラから出て、シャレーのゲート前まで来ると、大きな赤い鳥がいました。

木にとまったところを、そっと近づいてみると、

今朝も見た、アカクサインコ(Crimson Rosella)でした。
敷地の中や外で、見たことも聞いたこともない様々な鳥が飛んだり鳴いたりしています。さすが、自然の中になるシャレーでした。
エバンスルックアウトからの景色
エバンスルックアウトに行ってみました。

反対のがけの向こうでは、夕立が降っているのが見えました。
シャレーに戻ってきて、敷地内を散歩していると、一番奥の方で、何やら茂みの中で私たちの足音に驚いて逃げていく1mぐらいの動物の黒い背中が一瞬見えました。
そして、逃げていく足音が「トンッ、トンッ、トンッ」と遠ざかっています。「もしやカンガルー?」と思いました。
朝食の時に、シャレーのスタッフが、「昨晩おなかの袋に子供が入ったカンガルーを見た」と言っていたのを思い出しました。もしかしたら、そうだったかもしれません。
夕飯もバーベキュー
夕飯も、バーベキューにすることにしました。内容はお昼と同じポークに、そこに、スーパーで買ってきたハムとチーズのパイをプラスしました。

サマータイムなので、夕方6時過ぎでもまだ十分明るいです。

夜は少し冷え込むので薪ストーブ
真夏とはいえ、シャレーは標高1000m以上、夜は16℃ぐらいまで冷え込みます。エアコンでもいいのですが、せっかくなので暖炉型薪ストーブに火を入れてみることにしました。
薪と着火剤はすでにセットされています。下部の空気取り入れ口のレバーを、最大の位置にして、用意されているマッチで、

着火剤に火をつけます。

数分後には、炎が大きくなり、部屋が暖まり始めました。
煙突ダンパーは、閉じ気味のままほとんどいじる必要はありませんでした。
炎が見えると暖かみがあってよいですね。
火が安定すれば、空気取り入れ口のレバーを半分ぐらいの位置にしておけば長い時間火が持ちます。
前にも書きましたが、この薪があらかじめセットされたストーブ、途中で薪をいじることなく、4時間近く燃え続け、最初に一番下にあったかなり太い木まできれいに燃え尽きていました。
後で調べて分かったことですが、薪ストーブなどでも、薪の組み方にいろいろ流儀があるのですね。ちなみに、この組み方は、合掌型・閉じ傘(ティピ型)などと呼ばれるやり方に分類されそうです。知りませんでした。
贅沢でおしゃれなシャレーと、すぐ近くに点在する絶景ポイントをのんびり楽しむ一日になりました。
コメント