今回は、オリンピック国立公園の見どころを紹介します。
アメリカのメジャーな国立公園は入場パス(Entrance Passes)を購入する必要があります。訪問する場所によってパスが必要なところと、そうでないところがあります。
国立公園の入場パス(Entrance Passes)
オリンピック国立公園の中でも、訪れる場所によってパスの要否や種類が変わります。やや複雑ですが、州の入場パスが必要なキャンプや長い本格的なトレイルに入るのでなければ、国立公園の入場パスがあればOKです。
今回紹介する見どころの中で入場パスが必要だったのは、以下の2か所です。
・ハリケーンリッジ
・ホー・レインフォレスト
クレセント湖やルビービーチはアプローチする道にゲートはなく、入場パスは必要ありません。
入場パスは、事前に国立公園のホームページから購入することができます。
入場パスは3種類あります。
| パスの種類 | 内容 | 料金 |
| Standard Pass | 特定の国立公園に限定 7日間有効 | 車 $30/1台 バイク $25/台 徒歩・自転車 $15/人 |
| Annual Pass | 特定の国立公園グループに有効 1年間有効 | $55/車4台まで |
| America the Beautiful Pass | 国立公園局、米国森林局、 開拓局などが管理する公園・施設共通で1年間有効 | $80/車4台まで |
レンタカー1台で行くなら、$30ドルで1週間は有効です。
アメリカの国立公園のサイトでクレジットカードで支払い手続きをすると、スマホにこのようなパスを表示できるようになります。

公園の入り口にあるゲートのブースでこの画面のQRコードをスキャンしてもらえば入場OKです。
事前購入していない場合、昼間の時間なら、ブースの手前にあるビジターセンターでパスを購入することもできるそうですが、時間をとられるので事前購入がおすすめです。
2026年1月1日からは外国人は追加料金!
ただ、ブログを書くのに改めて国立公園ホームページを見ていると、「2026年1月1日から、米国居住者以外のAmerica Beautiful Passは$250に改定。さらに、以下の公園では通常の料金に一人当たり$100の追加料金がかかります」と書いてあります。トランプ大統領の政策の一環のようです。
対象となる公園:アカディア国立公園、ブライスキャニオン国立公園、エバーグレーズ国立公園、グレイシャー国立公園、グランドキャニオン国立公園、グランドティトン国立公園、ロッキーマウンテン国立公園、セコイア&キングスキャニオン国立公園、イエローストーン国立公園、ヨセミテ国立公園、ザイオン国立公園
これでは、グランドキャニオン、イエローストン、ヨセミテなどメジャーな観光地に行く外国人は激減するのではないかと思います。
氷河が刻んだ深い谷の湖 クレセント湖とメリーミア滝
ここから、公園の見どころを順に紹介します。
最初に紹介するクレセント湖は、ポートエンジェルスから西に約17マイル (27 km)、US-101号線を走ること30分ほどで着きます。

US-101号線は最初は、幅も広く走りやすい快適な道ですが、湖が近くなるにつれて、左の山肌が迫り、森の中のくねくねとカーブが続く道になります。右側に湖が見え始めてしばらく行くと、右側に20台分ほどの駐車場があり、クレセント湖の看板があり湖を展望できるビューポイントがあります。

こんな景色です。この湖は氷河期に氷河が 深い谷を削って形成されたとのことで、公式の最大深度は624フィート (190 m) と言われているそうです。
このビューポイントからさらに進むこと数分のところに、レイク・クレセント・ロッジへの入り口があり、そこを右折して直進すると、駐車場があります。
私たちがクレセント湖に行ったのは週末のお昼ごろだったので、駐車場はすでに満車。空きを待つ車もたくさんいて、駐車場へアプローチする道はこのように、

ズラリと路駐の車が並んでいる状態。ちょうど路駐の車が出るところに出会って、なんとか車を停めることができました。
ピクニックエリアでランチ
ちょうどお昼時だったので、駐車場わきのピクニックエリアで、ランチにすることにしました。

スーパーで買ってきたターキーとチーズのラップやフルーツでピクニックランチです。

ランチを終えて、湖岸に出てみると、

ちょうど日が差してきて、透明度が高くきれいな青い湖面を見ることができました。
メリーミア滝(Marymere Falls)
腹ごしらえをして、ここからスタートするメリーミア滝へのトレイル(遊歩道)を歩いてみることにしました。黒い太線が車で通って来たUS-101号線。

駐車場からUS-101をくぐってメリーミア滝につながる点線がトレイルです。0.9マイル(約1.4km)少々登りがあったりするので、25分ほどのハイキングです。
道中は、ところどころに巨木があり、

まっすぐ空に伸びる針葉樹に囲まれ、独特な景観です。

しばらく行くと、沢を渡る橋があり、

そこから、斜面を登りはじめるとすぐ、滝の音が聞こえてきます。

展望台に着きました。

小さな滝ですが、苔むした一枚岩と緑に囲まれて癒される景色です。
帰り道、道端をリスが走っていました。

何か、どんぐりのような物をくわえていました。

ダグラスリス、ワシントン州に多く生息するリスのようです。
こんな枝ぶりの樹も

枝という枝に苔が生えています。独特の雰囲気ですね。

温帯雨林の特徴です。
氷河地形が見られる高原 ハリケーンリッジ
ポートエンゼルスに滞在中のある日、この日は朝からどんより曇っていて、天気予報によれば午後から晴れてきそうということでした。海(ルビービーチ)へ行くにも山(ハリケーンリッジ)へ行くにも、曇りでは景色がイマイチ。特に山では、雲の中で何も見えない可能性があります。また、あとで紹介するルビービーチとホー・レインフォレストは遠いうえに同じ方向にあるので、同じ日に行くのが正解。
そこで、この日は午前中はポートエンゼルスの散歩やスーパーでの食材の買い出しをし、午後のお天気の回復を待って、ポートエンゼルスから手軽に行けるハリケーンリッジへ行くことにしました。
天気予報から少し遅れて午後2時過ぎに陽が差してきたので、ハリケーンリッジに向かいます。

ハリケーンリッジは、ポートエンゼルスから約20マイル(約32km)ほど。海岸のホテルかから標高1500mほどまで、このような道を一気に坂を上ります。

途中、ゲートで入場パスのチェックを受けたり、道端にオグロジカがいたりしました。

最後は、くねくねと曲がるつづら折りのカーブを走り視界が開けたところがハリケーンリッジの駐車場です。

周辺の案内図です。

現在地のPのところから、本当は上の方の”Hurricane Hill”まで歩いて上って行くのがメインなのですが、午後3時近くなっていたので帰りの時間が心配で、右上の拡大図にあるもっと短いトレイルを歩いてみることにしました。
良く整備されたトレイルです。

広い尾根をしばらく歩きピークへ向かう急な山道に差しかかると、脇の林の中になにやら動くものが。

オグロジカがいました。まだ角が小さいので若い個体のようです。
駐車場からだいぶ登ってきました。

頂上からは、このような景色。

残雪がある季節だとよくわかるらしいのですが、とがった山のピークとその下の緩やかなUの字の谷が、その昔氷河が形作った地形だそうです。最初に紹介したクレセント湖とともに、オリンピック山脈を代表する氷河地形です。
駐車場まで降りてくると車の下にシマリスがいました。絵にかいたようなリスです。

7~8月上旬は高原にもっと花が咲き、緑も多く景色が楽しめるようです。ただし、人も多いと思います。
巨木と一面の苔が生み出す緑の世界 ホー・レインフォレスト
ハリケーンリッジとは別の日、見どころのひとつ、ホー・レインフォレストに行ってきました。
ホー・レインフォレストは、オリンピック国立公園を特徴づける温帯雨林を見ることができる、太平洋岸に近く比較的標高の低いところにある深い森です。

ポートエンゼルスからは、約88マイル(約141km)ほどで、道は良いので2時間ほどで行くことができます。途中、上高地の梓川か?と思うような景色にも出会いました。背景の山はありませんが💦

公園の入り口のゲートでエントランスパスのチェックを受け、川沿いの道をしばらく進むと大きな駐車場があり、その一角にビジターセンターがあります。

ビジターセンターで概要の解説を見た後さっそくトレイルを歩いてみました。地図のHall of MossesとSpruce Natureというトレイルです。
トレイルを歩き始めるとすぐに、大木に圧倒されます。

その先にはまったく濁りのない小さな川が流れていました。

一面に青々と水草が生えています。

トレイルの足元は大半が舗装されていますが、いたるところに倒木が折り重なり自然の厳しさも感じられます。

ここにもダグラスリスがいました。

ホー・レインフォレストの紹介ページによく登場する写真です。

朽ちた倒木には苔が厚く生え、そこに種が落ちて新しい木が育っていました。

それらが何十年、何百年も経つとこのようになるのでしょうね。

そこらじゅうが苔むした巨木です。

この日はお天気が良かったのですが、ホー・レインフォレストの本当の良さは、曇りか霧雨のほうが温帯雨林の本来の雰囲気が感じられるかもしれません。
トレイルを歩き終わるとお昼時になっていたので、駐車場脇のピクニックエリアで、ホテルで朝のうちに作ったチキンラップとフルーツでランチにしました。

たっぷりのレタスと出来合いのローストチキンとチーズを巻いてあります。ローストチキンに味がついているので、調味料は不要。これ、私の大好物です。
ルビービーチ(Ruby Beach)
ルビービーチは、オリンピック国立公園の太平洋に面した南北100km以上にわたる海岸線の中ほどにあります。

ポートエンゼルスからだとホーレインフォレストと同じ方向になるので、同じ日にこの2か所を回るのが効率的です。
ポートエンゼルスからは約84マイル(約134km)、ホーレインフォレストからは、約32マイル(約52km)です。こちらはUS-101からすぐのところに駐車場があり、料金ブースはなくエントランスパスは必要ありません。
駐車場から海岸に降りていくと、このような景色が広がっています。

人の大きさから、岩の大きさがわかるでしょうか。そして、手前には、

おびただしい流木が流れ着いています。そばまで行くと、

ものすごい量です。風やら海流やらで寄せられてくるのでしょうね。
巨岩と岩の上に生えた松の木。海岸のこの景色、どこかで見たことがあるような…

三陸の浄土ヶ浜に似ています。太平洋をはさんで対面しているわけです。

オリンピック国立公園、いかがでしょう。アメリカの国立公園の中ではマイナーですが、それなりに楽しめるドライブになりました。
ホテルへの帰り道、夕飯、翌日の朝食の食材調達のため立ち寄ったポートエンゼルス市内のスーパーで、このようなものを買いました。

いわゆるパンの耳のおつとめ品で、1.04ポンド(約470g)で$0.78(約¥120)でした。そしてラベルをよく見ると、

”HEEL-BILLY BREAD Critter Food”と書いてあります。”HEEL-BILLY”は食パンのようなパンの種類のようですが、”Critter Food”は意味が分からずGoogle 翻訳に聞いてみると、「動物のえさ」という意味だそうです。
「なるほど、犬や鳥などにやるパンの耳か!」とも思いましたが、ローストされたチキンやチーズやレタスを挟んで食べると、それはそれでとてもおいしいパンでした。
よく、アメリカのレストランでは食べきれずに残したものを持ち帰りたいと申し出るとき、”Can I have Doggy-Bag?”(ドギーバッグありますか?)と訊きます。文字通りの意味合いは、「うちのワンちゃんにあげるので持ち帰り用の容器はありますか?」というような意味ですが、たいていは犬に食べさせるのではなく自分たちで食べる目的で「ドギーバッグありますか?」と訊くわけです。
万一調理から時間がたったものを食べておなかをこわしても、お店の責任は問いませんという意味合いでワンちゃんにあげる、というのか、「持って帰って後で食べる」というのが恥ずかしいからなのか、いずれにしても面白い習慣です。
そして、この”Critter Food”(動物の餌)も似たようなノリだと思いました。
オリンピック国立公園の見どころまとめ
最後に、オリンピック国立公園の見どころ地図を載せておきます。

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