よしっ、別荘を建てるぞ!

その他

別荘地を買えば…

最初は、別荘地を買って建物は資金的にも余裕ができてからなどど考えていた父親ですが、別荘地をもてば、別荘を建てて使いたくなるのが人情。我が家の雰囲気も、「早く別荘を建てよう」という方向に傾いてきました。

土地の購入にかなりつぎ込んでしまったため、建物をいかに安く建てるかが工夫のしどころとなります。今回は、別荘の設計が固まるまでの経緯を書いておこうと思います。

夢はいろいろあるが、実現はむずかしそう

なんとか資金をかき集め、住宅としてはごくごく安い予算なら別荘を建てることができそうな状況になり、予算上限を決めたうえで設計前のおおまかな仕様を決めていくことになりました。

もちろんゼロから建てるので設計をしなければなりません。幸いにも、親類が設計事務所をやっていたので、これ幸いと格安で設計を請け負っていただくことになりました。

建て主である父親のコンセプトは、リッチなセレブが建てる別荘ではなく、庶民らしく3つのS、すなわち
”スモール”、”シンプル”、”スマート”
で、周りの山林にマッチした外観と簡素な内装の山小屋風、というもので、これには家族一同賛成でした。

家族から出てきた希望は

  • 山小屋風ならやっぱりログハウスがいいな
  • 建売住宅のような外観ではなく、自然の林に似合うウッディーな外観にしたい
  • 内装もできるだけ木を感じさせるような仕上げがいい
  • リビングは吹き抜けがほしい
  • ロフトがほしい
  • バーべキューができるベランダがほしい

などなど、ぜいたくはできないとわかっていながらも夢は広がります。
順に検討していきます。

  • ログハウス: 当時、大変流行っていましたが、仕様はピンキリで間取りの自由度はあまり なく、せっかく森の中なのに、大きな窓など開口を大きく取れないことから断念
  • ウッディーな外観: ログハウスは断念したものの、ここはなんとか死守したいところ ただし、外壁は木以外の建材のほうが概ね耐久性は良いらしい
    • →工務店さんのアドバイスで、外壁にカラマツを使用。昔は電柱ににも使われており、耐久性は抜群。ただ、経年で反りが出て暴れるので注意が必要
  • 木の内装: これも、多くの山の別荘がそうであるように、こだわりたいポイント。
    • →節の無い材木はお高いので、節ありの内装材でなんとか予算クリアできそう
  • リビングの吹き抜け: 冬は氷点下10℃ぐらいまで下がるので暖房効率が問題。
    • →全体をコンパクトにすることで、実現できそう
  • ロフト: リビングの吹き抜け、一部をロフトにしようとすると、「屋根裏部屋」の定義にいきあたった。
    • 高さ1.4m以内 屋根裏部屋として床面積に算入せず、部屋数にも入らない
      ただし、固定の階段やはしご段は設けてはいけない
    • 高さ1.4m以上 2階の部屋としての扱い。固定資産算税算に影響するが、ロフトも寝泊りできるようにしたいため、2階建てもやむなし
  • ベランダ: やはり「ベランダでバーベキュー」は夢なので、小さいながらもベランダを設置

と、こんなことを、親類のデザイナーと父親を始めとする家族で喧々諤々と話し合っていました。

模型を作ろう

設計を担当する親類から、「1/50の模型を作るといい」と言われ、東急ハンズで3mmのスチレンボードを買ってきて、当初の設計案の模型を作ってみました。着色してみると、屋根の傾きが少なく、田舎のちいさなお家といった感じになってしまいました。(残念ながら写真は残っていませんでした)


参考に、別荘地の他の別荘を見ると、屋根が単純だと別荘らしく見えないことに気が付き、寄せ棟風の形になるよう、間取りを少し変更し、屋根も傾きを大きくしたところ、小さな山荘という雰囲気が出てきました。

屋根の傾きを大きくとると、2階となる屋根裏部屋の頭上スペースも大きくとれ、屋根に雪や落ち葉が積もりにくいなど、いろいろなメリットがあることから、この方向でいくことになり、中の間取りも合わせて設計案が固まってきました。

1987年当時に作った別荘の模型。画質が悪いですがあしからず
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別荘の設計 良かった点、悪かった点

こうやって、設計案が固まってきましたが、30年あまり使ってきてよかったところ、悪かったところがあります。それらを上げておきます。これから別荘を建てようとする方の参考になればと思います。

  • 設計で良かった点
    1. 屋根の傾きは大きく、軒は深く(落ち葉、降雪対策)
      • 冬寒くて雪が降ったり、落ち葉の多いところでは、屋根の上にいろいろと積もったままになり雪下ろしや、落ち葉下ろしが必要になります。落ち葉は長年のうちに腐葉土となり、屋根に草が生えてくることもあります。
      • 軒が深いと、少々の雨でも、建物の壁が濡れることが少なく、壁の痛みが少なく長持ちにつながります。軒の浅い別荘は、外壁塗装が頻繁に必要になるようです。うちは約10年に1回塗り替えで済んでいます。
    2. ウッディーな内外装(山の別荘らしいぬくもりのある雰囲気)
      • これは、父親のこだわりポイント。自然の中ではやはり木で造ろうということです。内外装とも新建材などを使わず、木材にこだわりました。また、内装は天井なしの吹き抜けとしたので、柱や梁を固定する金具がむき出しになってしまいますが、大工さんにお願いして、金具を、端材で造った目隠しカバーでかくしてもらい、目に入るのはみんな木、という工夫をしました。ただし、天然木の内装はどうしてもごく小さな隙間が多くなるので、長い間には虫対策が必要になる可能性があります。
               
    3. 外壁材をカラマツにした(長期耐久性)
      • 外壁の木材にするのに、カラマツの下見板を使いました。ただし、カラマツは経年変化の反りなどが大きく、我が家も10年目ごろに、あばれて反った板をねじ釘で締めなおす手間が必要でした。予算があれば外壁の腰高まで石やタイル風のサイディング(お金があれば本物の石やタイル)にすれば今風のおしゃれな外観になり、なおかつ耐久性があがります。デザインとの兼ね合いですね。
    4. 大きな窓(別荘で何を楽しむか?)
      • 南側、ベランダに面したリビングに、一点豪華主義で可能な限り大きな窓を備えました。せっかく緑の中にあるのですから、思いっきり緑を楽しめるのが良かったです。ただ、あまり大きな窓を多くすると台風の襲来などを考え雨戸やシャッターなどの用心も必要になるので、開け閉めがめんどくさいなどあり、バランスが必要です。別荘で何をメインで楽しむかのこだわりポイントを設計に盛り込むと良いと思います。
    5. 外水道と外コンセント
      • 別荘では、なにかと「外遊び」や「野良仕事」が多くなります。外で使える水道と外壁のコンセントは必須です。汚れて帰って来たときなどは、玄関横に水道があると便利です。また、日曜大工をやったり、電動草刈機で草を刈ったりのため、家の周りにコンセントをあちこち設けて正解でした。ベランダもコンセントがあれば、電気ポットやホットプレートが使えて便利です。
                
  • こうしておけば良かったという点
    1. 基礎の高さを高く(落ち葉で地面が上がってくる?)
      • 別荘地では、最低基礎高が決められているところも多いようですし、傾斜地では、大抵高い側に玄関を設け、低い側は柱や基礎でかさ上げすることになると思いますが、寒冷地では冬の積雪、また、夏の雑草を刈ったあとの根元や落ち葉で、長い年月ではだんだん地面が上がってくるということがあります。わが別荘周辺も、緑を楽しみたくて木をできるだけ残したため、年に数ミリずつ落ち葉が積もり、年5mmでも30年経てば15cm地面が高くなる勘定です。家の周りは毎年落ち葉かきをして抑えるとしても、全体は上がってくるので、基礎は高くしておくのが良いと思います。一番低いところで60cmを確保しましたが、あと10cmぐらい高ければと思う今日この頃です。落ち葉が積もらないようなら、あまり心配はありません。
    2. 和室は良く考えて(湿気対策)
      • 別荘を建てた1980年代は、まだ、どのマンションにも必ず1室和室があったころで、60歳を過ぎていた両親も、畳で寝たいと和室を一間作りました。しかし、和室の押し入れや畳は、梅雨時には湿気が取りきれない問題があり、特に押し入れの中の壁、天井、床は断熱がおろそかになりがちで、結露しやすく、カビの発生に悩まされることになりました。なので、うちは10年目ごろに、和室をフローリングにリフォームすることになりました。その結果、かなり快適に過ごせるようになりました。
    3. 通風の確保(湿気対策)
      • 今どきなら、暖房効率の良い気密性の高い住宅では、24時間換気システムなどを導入する手もありますが、時々使うというのに、換気を回しっぱなしにしておくのももったいないので、うちでは、2階の防犯上問題ない窓を、帰るときに1~2cm開けて通風を確保して帰ります。壁のできるだけ高いところに通風口を設けておくとよいかと思います。
    4. 無くても良かった設備(風呂床暖房、掘りごたつのヒーター)
      • バスルームの床に、電気ヒーターによる床暖房を付けましたが、バスルームは陶器のタイル張りのため、寒い時期に電気ヒーターでは全く歯が立たず温まりません。これは失敗でした。
      • リビングダイニングに掘りごたつ風の囲炉裏を囲むものを作り付けました。これは、大人数で食事をするときに、大変役に立ちましたが、掘りごたつの中に電気こたつ用ヒーターを入れ、寒い時期は周りに布団を付けていわゆる掘りごたつにしようと思いましたが、これも、大きなスペースは電気ヒーターでは暖まらず、石油ストーブで部屋が暖まれば不要なことがわかりました。

長期間締め切りになることが多い別荘は、湿度対策が重要。また寒い時期が長い山の別荘では、部屋をいかに暖めるかが重要で、床・壁・天井(屋根)に断熱材をしっかり入れることはもちろん、大きな窓は2重窓にするとか、和室では、畳の下や押し入れ部分の断熱もすること、バスルーム・トイレの暖房、などを考慮しておくと良いと思います。

設計が決まった!

喧々諤々、家族と設計担当の親類と工務店で話し合いを重ね、別荘地の建物担当の確認もいただき、ようやく設計が固まるまで、4か月ほどかかりました。基礎は雪が降る前に完成させるため、11月から先行して工事開始。上物は、ようやく1987年の初頭に工事契約ができ、厳冬期の2月に着工ということになりました。

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