今回のワシントンDC訪問の最大の目的は、スミソニアン国立航空宇宙博物館(National Air and Space Museum)の別館的存在の、スティーブン・F ユードバー・ハジーセンターをじっくり見て回ることでした。
スミソニアン航空宇宙博物館は2か所にある
スミソニアン航空宇宙博物館は、2か所あります。良く知られているのが、ワシントンDCのモールという、リンカーン記念館やワシントン記念塔、国会議事堂などがあるエリにあるスミソニアン協会の博物館群の一つとしてあります。こちらは、ワシントンDCの街中なので、多くの人が訪れるところです。
余談ですが、スミソニアン協会の多くの博物館は、入場料無料です。太っ腹ですね、連邦政府からの助成金も入っているようですが、トランプ政権で有料化されないことを願っています。
本館のほうは、アポロ17号が持ち帰った月面の石に触れたり、アポロ計画で唯一地球に帰還する部分である司令船の本物を展示してあったり、本物の航空機もたくさん展示されている広大な博物館で、しかも、入場料は無料とあって、スミソニアン協会の博物館の中でも、一番人気のところです(現在はネットで入場時間帯別の事前予約が必要です。下のページの中ほどの黄色いところにある”Free Timed-Entry Passes”のところから予約します)。現在は一部改修中のようです。
本館には多くの展示物、特に本物の航空機の所蔵品はとても収まりきらないために、2002年にワシントン・ダレス国際空港のそばにオープンしたのが、航空宇宙博物館の別館ともいえる、スティーブン・F ユードバー・ハジーセンターです。
スティーブン・F ユードバー・ハジーセンターはダレス国際空港のそば
スティーブン・ F. ユードバー ハジー・センター(Steven F. Udvar-Hazy Center)(以下「ハジーセンター」と略します)は、ダレス国際空港の近くにありますが、空港ターミナルとは反対側で、歩いていくことはできません。
明日は、もう帰国の途につくというワシントンDCでの最終日に行くことにしました。
帰国は、ワシントンDCのダレス国際空港を午前に出発、米国国内便でロサンゼルスで乗り継ぎ、羽田に帰るという旅程でした。午前の便に乗るのに便利なように、前の日の朝のうちに空港近くのホテルに移動し、ハジーセンターをタップリ楽しもうという作戦です。
最終日のホテルはホームウッド・スイーツ・ダレス国際空港
最後の晩に予約したホテルは、ホームウッド・スイーツ・ダレス国際空港(Homewood Suites by Hilton Dulles Int’l Airport)です。
地下鉄のシルバーラインの、ダレス国際空港駅の一つ手前のイノベーション・センター(Innovation Center)駅から歩いて10分ほどのところにあります。
そしてこの、イノベーションセンター駅前のバス停で、ハジーセンター行のバスに乗ることができるのがポイントです。

駅のホームから改札階に上がったところからホテルが見えました。

空港までの無料送迎バスもあります。
空港からおおむね1時間に1本ある、ハジーセンター往きの983番の路線バス(Fairfax Connector)はイノベーションセンター駅経由なので、空港から行くよりバスに乗っている時間が短くてすみます。地下鉄と同じSmarTripカードで乗れます。

朝、地下鉄でホテルを移動し、フロントに荷物を預けて、イノベーションセンター駅に戻り、バスを待ちます。
駅前のバス停はこのようになっています。

時刻表通り983番のバスが来ました。

ハジーセンター行きではなく、Aero & Space Museum行と表示されています。バスに乗ること15分ほど。博物館に着きました。玄関の真ん前にバス停があります。

ここで、念のため帰りのバスの時間を確認。
スティーブン・F ユードバー・ハジーセンターへの行き方
ここで、ハジーセンターに行ってみようという方のために、主な行き方を紹介しておきます。
ハジーセンターは、ダレス国際空港に隣接しているので、ワシントンDCを訪れる場合、ダレス空港到着直後か、出発前日に空港近くで泊まるなどしてに行くことをお勧めします。ワシントンDC市内からだと、地下鉄とバスを乗り継いて1時間半ほどかかります。また、機内持ち込みサイズの手荷物は無料のロッカーがありますが、大きなスーツケースなどの荷物を預けるところはないので注意が必要です。
①ダレス国際空港から
入国し、Ground Transportation の表示に従って路線バス停に向かい、983番のバスに乗ります。30分ほどでハジーセンターに着きます。バスは、概ね1時間に1本なので、事前に時刻表を調べておくことをお勧めします。
バスを待っていられない場合は、タクシーかUberを使えば、10分ほどで着くかと思います。
②ワシントンDC市内から
地下鉄シルバーラインで、ダレス国際空港方面に向かい、空港の一つ手前の駅、イノベーションセンター駅で降ります。ここまで市内から1時間近くかかります。進行方向左手の駅の南側に出るとすぐ目の前にバス停が(Innovation Metro)があります。いくつかありますが、Bay B(Bと書いてあるポールのところ)で983番のバスに乗れば、20分ほどで着きます。この辺は、あまり歩いている人は多くないのでタクシーやUberは呼ぶのに時間がかかると思います。あらかじめバスの時間を調べて、それに合わせて電車に乗るほうが良いと思います。
③車で
レンタカーの場合、駐車場は有料でUS$15/1台かかります。
ハジーセンターの公式サイトはこちらです。
ハジーセンターの展示
ハジーセンターは、長辺300mにも及ぶ長大の格納庫のような建物からなっており、展示はこのようなレイアウトになっています。いかにたくさんの飛行機が展示してあるか、一目でわかりますね。

https://airandspace.si.edu/multimedia-gallery/hazymapweb-2022-01-1png
大きく、ボーイング・アビエーション・ハンガーという、長辺300mほどある大きな建物と、横に突き出したようなジェームズ・S・マクダネル・スペースハンガーに別れ、それぞれに折り重なるように航空機や宇宙船が展示されています。すべての展示は屋内なので雨の日でも大丈夫です。
エントランスから入って右側(図の右側⑩)が、第2次世界大戦後~現代のジェット戦闘機と、航空機のエンジンがピストンエンジンからジェットエンジンまで並んでいるエリア。
真ん中あたりが、超音速偵察機⑨と、戦前と第2次世界大戦で活躍(戦争はいけませんが、純粋に飛行機が好きです💦)した戦闘機などの展示エリア⑦⑫など。左側が民間航空機の展示エリア①~⑤、⑪~⑬です。
また、奥(図の上側⑳~㉓)は、宇宙ロケット、宇宙船、ミサイルなどの展示エリアです。
図の上左のところに、水色で塗られているMARY BAKER ENGEN RESTRATION HANGERと書いてあるところは、ガラス越しにしか見ることができませんが、所蔵する航空機などの修復を行っている作業場です。ほんとはここが一番見たいところなんですが…
エントランス近くには、展示以外に以下の施設があります。
・機内持ち込みサイズ程度のキャリーバッグを無料で預けることができるロッカーコーナー
・持参したランチボックスなどを食べることができるテーブルと椅子があるピクニックエリア(屋内)
・エアバスIMAXシアター(有料)
・ダレス空港に発着する飛行機を見ることができる展望台
・ミュージアムショップ
・シェイク・シャック(ハンバーガー店)レストランは、このシェイク・シャックだけです
広大な公園と駐車場に囲まれていて、近隣の歩いて行ける範囲に飲食店などはありません。
それでは、代表的な展示を紹介していきましょう。
戦後~現代の飛行機
エントランスから入って正面にはP-40フライングタイガー戦闘機の空軍部隊の塗装の機体がお出迎え。

右側のエリアの全景です。

半分欠けてしまいましたが、折れ曲がった主翼が特徴のF4Uコルセアも目の前に天井から下がっています。
歴代の戦闘機用エンジンが並んでいる横を通って、

建物の一番端へ行きます。
まず目に入るのが、ピカピカに磨き上げられた、アメリカ海軍のアクロバット飛行隊ブルーエンゼルスの塗装が施されたダグラスF/A-18Cホーネットです。

トップガンの2作目マーヴェリックで主役となった機種で、ほれぼれと見入っている若者がいて、動く気配がなかったので写っちゃいました💦 ブルーエンゼルスかトップガンのファンなんでしょうか。
次に、目が止まったのはグラマンF-14D(R)トムキャットです。

こちらは、最初のトップガンの主役になった機種です。展示機は尾翼にフィリックスのマークが入っていました。

ベトナム戦争で良く使われた、ベル AH-1 攻撃ヘリです。ヒューイコブラとも呼ばれています。

小学生のころプラモデルを作った覚えがあります。
グラマンA-6Eイントルーダーです。

艦上攻撃機に分類されていますが、精密攻撃に使われたそうです。機首に精密大型レーダーを積んでいるために、あたまでっかちになっていて、その幅を利用してパイロットとレーダーなどを監視する乗員が車のように横並びに座る構造になっています。空母の格納庫に入れるため、翼が折りたためるようになています。
いろいろなものの形には、それぞれ理由があります。
こちらは、X35-B。 日本の自衛隊も導入し始めているステルス戦闘機F-35の原型モデルだそうです。

垂直離着陸できます。
こちらは、F4ファントムⅡ。

1950年台~60年代に作られた戦闘爆撃機でベトナム戦争から長い間使われていました。自衛隊でも一時は戦闘機の主力になっていましたね。先っぽのレーダードームが大きいです。
これも小学生時代プラモデルで作った覚えがあります。
余談 ファントムのプラモデル
おもいっきり余談ですが、小学校のときに、お祭りで親にヒヨコを買ってもらったことがあります。自宅の庭で大切に育てた結果、順調に大きくなりましたが、ひとつおおきな問題が起きました。雄鶏だったのですが、大きくなってくると夏の早朝4時ごろ周りが明るくなり始めると、甲高い音で「コケコッコー!!」と朝を告げてくれるのです。余談ですが、お祭りで売られるのはたいてい卵を産まない雄鶏なんですね。
普通の戸建ての住宅街だったので、さすがに、庭をはさんだ隣家のみならず向かいの家などからも「ちょっとなんですよね」とクレームが。それよりなにより、私自身が寝不足になる状態。
そこで、母親が一計を案じて、母親の友達が近所の鶏(肉)屋に話をつけてくれて、持ってきてもらえば、相応の値段で買い取ってくれる、ということになりました。小学生ながらもそれ以外に良い方法は見つからず、やむなく売りにいくことにしました。
大きな50cm立方ぐらいの大きな段ボール箱に生きたままのニワトリを入れ、バスに揺られて隣の町の鶏屋さんまで行きました。バスの中で「頼むから鳴かないでくれよぉ~」っと祈っていたのを覚えています。そして、鶏屋さんで300円で取引成立。当時の相場なのか、鶏屋さんの温情なのかはわかりません💦
そして、その売り上げで、帰り道のおもちゃ屋さんで買ってもらったのが、このF4ファントムのプラモデルだったので、この機体を見てとのときのことを思い出しました。
話をもとにもどしましょう。
数は少ないですが、ソ連製の戦闘機も展示されています。

MiG-21FフィッシュベッドCです。口をぱっくり開けているのでフィッシュヘッドなのでしょうか?ソ連製ですが、東欧、中東、アジア、アフリカなどで使用され、1万機以上と世界で一番数多く生産された超音速ジェット戦闘機だそうです。
第2次世界大戦期の機体
続いて、建物中ほどの第2次大戦中の飛行機の中で、目に止ったものを紹介します。旧日本軍の機体もあります。
こちらは、通路のすぐ脇に展示されていた、紫電改(川崎N1K2)です。

他の戦闘機の開発が遅れたため、ゼロ戦の後継機となった機種で、4枚プロペラが特徴です。戦後接収されたときにはボロボロだったのでしょうが、きれいに修復されています。紫電改の上に覆いかぶさっている銀色の大きな翼の機体は、あとで出てくるB-29です。
このように、多くの展示物が所狭しと重なり合っています。
こちらも日本軍の夜間攻撃機月光(中島 J1N)です。夜間攻撃機なので、お腹も濃い色ですね。

双発で、操縦席の後ろに斜め上向きに機銃が装着されているのが特徴です。大戦当時、重爆撃機Bー29の大編隊が夜間、日本の各都市に焼夷弾の雨を降らせたのをなんとか迎撃しようと、B-29の弱点の後ろ下方から迎撃することを考えて作られたものだそうです。
月光の相手ともいえるボーイングB-29エノラ・ゲイです。

全長30m超、翼幅43m、燃料満載でも9tの爆弾を積んで、4800kmの距離を飛ぶことができたそうです。銀ピカに磨き上げられ、威容を醸し出しています。
名前からもわかるように、この機体は広島に原爆を投下した機体そのものです。
さて、目についたものだけを紹介してきましたが、それでも長々となってしまいましたので、続きは、次回のブログで紹介したいと思います。
次回は、民間機と宇宙船・ロケットの展示紹介です。
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