7月の3連休は、忘忙庵に行ってきました。
東京では、連日30℃を超えるようになってきました。こんなときこそと、忘忙庵!っと思っていましたが、東京も雨模様で涼しかったようで、忘忙庵ではフリースを着て夏掛け布団にくるまって寝るくらいの、かなり涼しい滞在となりました。
今回は、草刈りなどの外の仕事は大体片付いていて、しかも3泊なので、ゆっくり食事を楽しもうと思っていました。そこで、かねてから一度やってみたかった、合鴨の燻製づくりに挑戦することにしました。
熱燻とは
煙の出る燻製は、自宅のマンションでは作れないので、忘忙庵に行った時の楽しみのひとつです。いつもは、スモークチーズを「温燻」(温度は数十℃レベルで、3~4時間煙でいぶす)で作るのですが、今回の、合鴨の燻製は、生肉に火を通すため「熱燻」で作ります。燻製にはこのほか、生の風味を活かすため温度を上げずに長時間煙でいぶしてスモークサーモンなどを作る「冷燻」という作り方もあります。
熱燻は、100℃を超えるぐらいの高温で、短時間で燻製する方法で、よく、「道具などなくても、中華鍋と網でも手軽にできます」と、ネットで紹介されています。でも、中華なべや蓋にもいぶされたにおいや”ヤニ”がこびりついて、洗うのも大変なので、使い古したものを専用にしたほうが良いと思います。忘忙庵では、以前のブログでも紹介したように、スノーピークのコンパクトスモーカーを使っています。
合鴨スモークの思い出
合鴨の燻製ですが、思い出があって、20年近く前に、大阪のユニバーサルスタジオに旅行に行った際に泊まった、「ホテル日航ベイサイド大阪(今は、経営が変わり、ホテル京阪 ユニバーサル・タワー)」の最上階レストラン、Top of Hollywood(トップ・オブ・ハリウッド)で食べた前菜のひとつに出てきた、合鴨の燻製が感動のおいしさだったので、いつかあの味を、忘忙庵で再現してみようと思っていたのです。
材料の調達
合鴨肉はなかな普通のスーパーでは売っていませんが、たまたま普段買い物で使う肉のハナマサに、冷凍の合鴨胸肉とモモ肉が売っているのを見つけていました。そこで、今回の忘忙庵行きに備えて1週間ほど前に、合鴨もも肉を買っておきました。タイ産で、ネットでの評判は良いのですが、お値段も750円ほどと結構します。以前は100g79円とかだったのに。(写真を撮り忘れました💦)
工程
熱燻は、燻製作業自体は1時間もかからず短時間に終わるのですが、実は、下ごしらえにひと手間かかります。おおまかな手順は以下のようになります。
・解凍(冷凍肉の場合)
・ソミュール液への漬け込み(8時間)
・塩抜き(1~2時間)
・乾燥(数時間)
・熱燻製(1時間弱)
・なじませる(適宜)
順を追って説明していきます。
解凍~ソミュール液への漬け込み
解凍は、ビニールパウチごとボールの水に入れて、15分ほどで完了。冷凍庫から冷蔵室に移して一晩おいても良いようです。ソミュール液は、以下の配合で作りました。漬け込みをジップロックに入れてやるので、少な目で十分。我が家は夫婦とも薄味が好きなので、塩も通常のレシピの半分ほどです。
・水200cc
・塩15g
・ハーブソルト、黒コショウなど適量(料理にかけるよりは多め)。ハーブソルトは相性抜群でした。
これを混ぜて、ジップロックに入れた鴨肉の中に入れ、できるだけ空気を抜いてジッパーを閉じ、冷蔵庫で一晩(8時間)漬けこみます。
塩抜き
この塩抜きがまた重要です。ソミュール液は結構しょっぱいので、一晩漬けた鴨肉の表面近くは、かなりしょっぱくなります。そのため表面近くの塩分を抜くために、水に漬けて塩抜きをします。こうすることで、中のほうまで軽い塩味ををつけつつ、表面のしょっぱさを解消することになりま
す。
肉をジップロックから取り出し、そのままボールの水に漬けます。最初は、ちょろちょろと水を流しておいたほうが、塩抜けが良いそうです。
塩抜き加減は、ソミュール液の濃さや肉の状態でも変わってくるため、絶妙な塩味を狙うなら、味見をしながらやるのが良いそうです。最初に1時間ほど塩抜きしたところで、味見をします、といっても生肉なので、端のほうを少し切り取り、フライパンで焼いてから食べてみます。
塩抜き1時間後では、まだ結構しょっぱかったので、もう1時間、都合2時間塩抜きして、味見すると、まだ少ししょっぱい感じでしたが、味見片は恥のほうなので、中のほうは大丈夫だろうと判断。
乾燥
ちょどよく塩抜きできたら、キッチンペーパで水分をふき取ってからそのまま皿にのせて、冷蔵庫に入れて乾燥させます。表面がしっかり乾燥していないと、いぶしたときに、うまっく香りが着かず、木酢液のような酸っぱい味でまずくなってしまいます。
これも一晩ぐらいがよいそうです。アウトドアなどでは、お皿ごと虫よけの網に入れて、風通しの良いところに下げて乾燥させる作り方が一般的ですが、自宅なら、冷蔵庫で虫の心配もなく、菌の繁殖なども気にせず乾燥できます。
この状態で、再びジップロックに入れて、忘忙庵に持って行きました。なので、最低、忘忙庵に行く前の日からの作業が必要です。
熱燻
忘忙庵で、ジップロックから鴨肉を取り出します。冷蔵庫やクーラーボックスに入れてあった鴨肉は、冷たくなっているので、燻製の30分ほど前に出して、キッチンペーパーに載せ、室温に戻しておきます。せっかく乾燥させた肉が結露して湿ってしまうのを防ぐためと、冷たいと中まで火が通らないからです。
こんな感じです。
熱燻は、さきほど紹介したコンパクトスモーカーを使います。
最初に、スモーカーの一番底にアルミホイルを敷き、その上にスモークチップを置きます。
以前、チキンドラムのスモークを作ったときは、チップを一握り使ったのが多すぎで、ちょっと失敗だったので、今回はほんのりスモーク風味が着くぐらいを狙って、大さじ山盛り1杯ぐらい。かなり少な目です。
スモークチップは、「クルミ」を使いました。
穏やかな甘い香りで、何に使っても失敗がありません。
次に、汁受け皿を置き、そして、網を置き
鴨肉を置きます。
最後に蓋をしますが、蓋の裏に、セロテープでキッチンペーパーを張り付けておきます。
これは、水分が蓋で結露して、鴨肉に落ちると、酸っぱい味が着き、スモークが台無しになってしまうので、重要です。
蓋をして、温度計を蓋の穴から差し込み、コンロに火をつけます。
最初は、スモーカー内の温度が100℃ぐらいになるまで、弱めの中火です。すぐに蓋の隙間から少しずつ煙が出てきて、あたりに漂います。換気扇が必須です。
ここからは、温度管理が重要です。
温度が100℃を超えたら、ごく弱火にして、100℃から120℃程度をキープします。
ここからタイマーをかけ、薄めの肉なら15分ほど、厚めなら20分ほど100℃~120℃をキープするよう、付きっ切りでこまめに微妙に火加減します。
今回は薄めの胸肉だったので15分にしました。
15分経ったら、火を止め、そのまま15分ほどおいて、50℃以下になるまで蓋を開けずに待ちます。煙を落ち着かせるためだそうです。
その後、蓋を開けると、このような感じになっていました。
熱燻はある程度冷めたほうが味が落ち着くので、表面に出た油などを吸い取るようキッチンペーパーで包み、完全に冷めるまで置いておきます。
出来上がりです。
試食
切ってみると、程よいピンク色で低温調理らしくジューシーに仕上がっていました。
おやつを兼ねてさっそく味見です。脂身のところは少し筋がありますが、肉質はとても柔らかく、鴨の風味とほんのりとした燻製風味で、「あの」合鴨スモークにかなり近い味が出せたかと、我ながらうれしくなりました。
「なかなか美味しい!」と、妻からも💮をもらいました。
別の日にスーパーで買い物をしていたら、出来合いの「鴨肉の燻製」を発見してしまいました。しかも、値段は今回の材料の鴨肉の値段の半値以下。ちょっとショックでした😿が、自作のスモークを食べたばかりだったので、買わずにおきました。
なにより、自分で作る楽しみがあるので、これはこれで良しです。
忘忙庵でも、家に帰ってからも、毎食数切れずつ合鴨スモークを楽しむことができました。
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