妻を家に置いて、一日早い日の早朝にシカゴに着きました。妻は明日の朝の同じ便で到着します。まずは今晩泊まるホテルに行きます。
- 空港から市内はCTAトレインで
- ホテルの部屋は午後4時まで入れない
- コーヒーで温まりながら、作戦を練る
- シカゴの建築を楽しむ
- ① ミレニアムパーク クラウドゲート(通称「ビーン」)
- ② シカゴ美術館
- ③ ルート66起点
- ④ ウィリス・タワーは全米No.2の高さ
- ⑤ シカゴ商品取引所
- ⑥ シカゴ連邦準備銀行(シカゴFRB)
- ⑦ ルッカリー・ビル
- ⑧ 連邦政府センター
- ⑨ モナドノック・ビル
- ⑩ 大型スーパー「ターゲット」も歴史的建物
- ⑪ リライアンス・ビル
- ⑫ ビルより彫像が有名💦 デイリー・センター・ビル
- ⑬ ジェームス・R・トンプソン・センター(工事中)
- ⑭ シカゴ劇場
- ⑮ 驚異のくびれ 150 ノース・リバーサイド・ビル
- ⑯ 333 ウエスト・ワッカー・ビル
- ⑰ トウモロコシ!? マリーナ・シティー
- ⑱ カーバイド&カーボンビル
- ⑲ アクア
- ⑳ トランプ・インターナショナル・ホテル&タワー
- ホテルに帰着
空港から市内はCTAトレインで
空港からは、CTAと呼ばれる近郊電車を利用して街に出ました。オヘア国際空港の第2ターミナル地下にCTAのブルーラインが乗り入れていて一本でシカゴ市内中心部に出られます。

左上に空港があります。
ホテルの部屋は午後4時まで入れない
シカゴに着いた日に泊まるホテルは、ハンプトン・イン・シカゴ・ダウンタウン / ノーズ ループ / ミシガン アベニューです。この辺にあります。
予約した部屋は、1-King・リバービューという、このホテルでは、西向きに一列しかない、シカゴ川が見渡せる貴重な部屋です。駅からホテルに向かう道中、ちょうどこの部屋の窓が見えていました。

高層ビルに囲まれた中に、少し低い黒っぽい2つのビルが、ヒルトンガーデンイン(右側)とハンプトンイン(左側)です。今回のリバービュー・ルームは、写真の黄色い線で囲まれた1列の窓がある部屋です。
後でチェックインして入った部屋からの眺めはというと、

こんな眺めです。奇跡の「抜け」眺望と言っていい感じですね。
ところで、ホテルのチェックイン時間は16時。ホテルに着いたのは朝9時前。フロントで、
私 「チェックインお願いします。部屋が用意できていれば使いたいのですが?(下手な英語)」
スタッフ「チェックイン時間は午後4時です。予約のカテゴリーでない部屋ならすぐに用意できますが(早口で、多分こう言っていた)」
私 「リバービューの部屋でないのなら、待ちます」
覚悟していたとは言え、最高気温が2~3℃という極寒のシカゴで、あと7時間ほど過ごさねばなりません。
コーヒーで温まりながら、作戦を練る
ハンプトン・インは、無料の朝食が付いていて、ホテルのロビーの奥にある朝食コーナーは多くの宿泊者でにぎわっていました。そこで、フロントのスタッフに、
私 「そこで朝食を食べてもいい?」
スタッフ「ノープロブレム!」
ということで、氷点下の朝、駅から歩いて冷えた体を、朝食コーナーのカウンターの温かいコーヒーを飲みながら、今日一日をどう過ごすか、地球の歩き方をめくりながら作戦を練ることにしました。
シカゴに来る前は、最初の一日は街歩きは寒いので、妻があまり興味がない科学産業博物館か、フィールド博物館(自然史博物館)あたりでも見に行こうかと考えていましたが、この日はお天気も良かったので頑張って街歩きをしよう、今までじっくり回ったことがなかったシカゴの建物をじっくり見て回ろうと考えました。
シカゴの建築を楽しむ
ホテルのあるシカゴ川の右岸から、南側市の中心部のループエリアを中心に、下の地図に番号で示した著名な建物を順に見て回ることにしました。1ブロックがだいたい100mほどなので、東西南北とも1km四方ぐらいのエリアに主なビルは建っています。

ビルによっては、ロビーまでは入れたりお店もあるので、暖をとったり、トイレを済ませたり(じつは、公共のトイレがあまり無いアメリカの街歩きではとても重要です)することもできるという読みです。
① ミレニアムパーク クラウドゲート(通称「ビーン」)
最初に、シカゴの顔ともいうべきミレニアムパークのクラウドゲートに向かいます。その形から、「ビーン(豆)」という愛称でも呼ばれています。

お天気も良く、周りのビルがきれいに映り込んでいて、たくさんの人がビーンを取り囲んで思い思いに記念写真を撮ったり自撮りをしたりしていました。
② シカゴ美術館
ミレニアムパークから南へ1ブロック歩くと、アメリカの3美術館の一つであるシカゴ美術館があります。印象派など有名画家の絵が所蔵されていて、ひととおりしっかり見るだけで4時間ほどもかかるとのこと。中を見るのは次の機会にゆずりましょう。

この建物は1893年のシカゴ万国博覧会を記念して建てられたものだそうです。どこかで見たことがあるような獅子の像があります。そう、ニューヨーク州図書館の前にもありました。
ニューヨークの獅子はおとなしく座っていましたが、こちらは立って吠えていました。
③ ルート66起点
交差点をはさんでシカゴ美術館の向かい側には、アメリカ大陸を横断する国道「ルート(Route)66」の起点の標識があります。

ルート66は、シカゴからカリフォルニア州のサンタモニカを結ぶ全長3,755kmに及ぶ国道で、アメリカの多くの映画、小説、音楽に登場する、日本の旧東海道のような道です。
こちらも観光名所のひとつで、みなさん入れかわり立ち代わり写真を撮っていました。
④ ウィリス・タワーは全米No.2の高さ
ルート66の始点から、西へ1kmほど歩くと、ウィリス・タワーの前に出ます。
周りも高層ビルのため、ビルとビルの間からしか見ることができませんが、シカゴで一番高く、全米でもNo.2の高さのオフィスビルです。2013年にニューヨークに新しいワールド・トレード・センタービルができるまでは、全米1の高さだったそうです。(アンテナを含む含まないなどで諸説あり)

ビルの写真をよく見るとわかりますが、一辺23mの正方形のユニットを9つ組み合わせた構造で、ユニットごとに高さを変えてできた特徴的な外観をしています。このビルの103階には展望台「スカイデッキ」があり、ビルから飛び出したアクリルでできた透明な部分があり。真下を見るスリルが味わえるそうです
⑤ シカゴ商品取引所
ウィリスタワーからジャクソン・ストリートを東へ2ブロックほど歩くと、右手にアールデコの存在感のあるビルが建っています。これが、シカゴ商品取引所です。

シカゴ商品取引所は1848年に設立された市場で、飼料などに使われる大豆やトウモロコシなどの穀物や農産物の大規模集散地となっていたシカゴで誕生した、商品先物取引の市場だそうです。このビルは、1930年に竣工。1965年までは、シカゴで一番高いビルだったそうです。
今なお現役で商品の先物取引所として稼働しています。
このビルは中に入ることができます。ロビーのソファーに座って冷えた体を暖めます。

1階の吹き抜けです。ケレス・カフェ(CERES Cafe)というカフェがあります。”CERES”は、ローマ神話の豊穣の女神で左手に小麦、右手にトウモロコシの袋を持っているそうです。このビルのてっぺんにも、女神の像が設えられています。

⑥ シカゴ連邦準備銀行(シカゴFRB)
商品取引所前のラ・サル・ストリートから、取引所に向かって右側にあるのが、シカゴ連邦準備銀行のビルです。経済ニュースでよく出てくるアメリカの金利政策などを決めるパウエル議長がいる連邦準備制度理事会(FRB)を構成する銀行の一つです。

立派な正面のデザインです。1922年に向かい側のコンチネンタル・イリノイ・ビルを設計したグラハム・アンダーソン・プロブスト・アンド・ホワイト建築事務所に設計を依頼して建設されたもので、通りをはさんで向かい合わせに、統一感あるビルが建つことになりました。こういった街づくりも素敵です。
⑦ ルッカリー・ビル
連邦準備銀行のはす向かいには、レンガ色の少し古そうなビルが建っています。ルッカリー・ビルと言います。

シカゴは1871年(明治4年)に、街の大半を焼く大火があり中心部は焼け野原となってしまいました。この大火から復興する過程で、増えるオフィス需要にこたえるため、街の高層化を目指したそうです。そんな中、ルッカリー・ビルは、1888年の竣工で、世界でも最初期の鉄骨づくりの高層ビルで、地上12階、高さは55mとのことです。
このビルも、1階のロビーのみ入ることができます。内部の様子はこのようになっています。

ビル中央の吹き抜けには、シカゴで多くの建築を手がけた建築家、フランク・ロイド・ライトによる改装が施され、ドーム状の明り取り屋根のある、明るく華やかな広間となっています。

金属性のらせん状の階段や手すりの細かい装飾など、歴史を感じさせます。
⑧ 連邦政府センター
ルッカリーから再びジャクソン・ストリートに戻り、東へ1ブロック歩くと左手にガラス張りの近代的な大きなビルが現れます。連邦政府センタービル(1973年完成)です。

20世紀の4大建築家ミース・ファン・デル・ローエの設計によるもので、ミースの鉄とガラスを用いた外観など近代建築の哲学が込められた傑作ともいわれています。
手前の赤いオブジェは、ガルダーという作家の「フラミンゴ」という彫像です。

シカゴの街中には、このような著名作家の巨大オブジェがあちこちにあり、それも街歩きの楽しみのひとつです。
⑨ モナドノック・ビル
連邦政府センタービルの南側、ジャクソン・ストリートの反対側に、赤茶色の古いビルが見えます。モナドノック・ビル・です。1891年から1893年にかけて建設されたもので、外壁にレンガを積み上げる組積スカイスクレーパー構造という、シカゴでも代表的な建築様式とのこと。16階建てという、当時としては「超高層ビル」だったとのことです。

丸くうねるような外壁に張り出した窓によって、建物の重量にかかわらず内部はとても明るくなっているとのことです。
⑩ 大型スーパー「ターゲット」も歴史的建物
モナドノック・ビルからジャクソン・ストリートを東へ1ブロック進み、ステート・ストリートを左折して3ブロック北上すると、右手に大型スーパーの「ターゲット」が見えてきます。赤と白のターゲット(的「まと」)印が目印です。

このビルは、ターゲットが入る前は、カーソン・ピリー・スコットと呼ばれたビルで、シカゴ派の建築家ルイス・サリバンの代表策だそうです。上層階は、水平のラインが協調された「シカゴ窓」と呼ばれるデザインが、建物を印象付けています。

正面の入り口から二階の周囲のオーナメントは鉄製の細かな装飾が施され、重厚、質実剛健な雰囲気の多いシカゴの建物の中では、珍しく華やかな雰囲気があります。
入口回転扉の上です。

とても細かな手の込んだ装飾がなされています。
ターゲットでは、お店に入り暖を取るとともに、ちょと用事を済ませて💦街歩きに戻りました。
⑪ リライアンス・ビル
さらにステート・ストリートを北上すると、左手に、少し間口は狭いですが、特徴的な外観のビルが見えてきます。リライアンス・ビルです。

1890年に建てられたビルで、こちらも当時としては新しい、鉄骨構造のため、窓面を大きくとることができ、さらに出窓ふうの「シカゴ窓」になっています。出窓の両サイドの張り出し部分の窓を開けることで、風の強い日の多いシカゴでも快適な通風を確保することができる構造だそうです。
⑫ ビルより彫像が有名💦 デイリー・センター・ビル
ターゲットから半ブロック北上して左手を見ると、デイリー・センター・ビルという、ちょっと鉄が錆びたような色のビルがあります(写真では色がわかりにくいでですが)

このビルは、コルテン鋼と呼ばれる表面が薄く錆びてそれが保護膜となって耐候性が上がるという鋼材が用いられていて、建築コストを抑える画期的外壁材と期待されたものです。今でも橋などの材料としても使われるとのこと。
いっぽう、このビルの前には、ビルと同じコルテン鋼を使って作られたピカソの「無題(Untitled)」の彫刻があり、観光スポットとしてビルよりこちらのほうが有名になっています。
私が行ったときは、ビル前の広場がクリスマスマーケット会場となっていて、まだ片付けが済んでおらず、近づくことはできませんでした。
⑬ ジェームス・R・トンプソン・センター(工事中)
ピカソの彫像を右手に次のクラーク・ストリートを右折すると、左前方に丸い大きな建造物が見えてきますが、現在は残念ながらリノベーション工事中のジェームス・R・トンプソン・センターでした。

もとは、イリノイ州政府の出張所で官公庁関連の建物が入っている、円錐台を4分の1に切り出したような、ガラス張りの特徴的な建物だったのですが、取り壊しなどの議論もあった2022年、グーグル(アルファベット)が買い取って2026年から、シカゴの拠点として利用を開始するとのことです。
⑭ シカゴ劇場

この建物と看板は、どなたも一度は見たことがあるのではないでしょうか。1921年に大型映画館としてオープン、フレンチ・バロック様式で内部も豪華な装飾と客席が設えられているそうです。(残念ながら私は入ったことがありません)
3,600席のシアターとして、多くの有名アーティストが公演を行い、一時は栄華を極めたそうですが、今でもブロードウェイの出張公演やコンサートなども催され、観光名所として、内部のガイドツアーなど行われているそうです。
ここまでで、シカゴ川の南側、ループエリアの著名建築めぐりはいったん終了、この後はシカゴ川沿いの建物を紹介します。
もう一度地図を載せておきましょう。一番左の⑮から再開です。

⑮ 驚異のくびれ 150 ノース・リバーサイド・ビル
さて、シカゴ劇場を後にして、シカゴ川に出て右岸の川のほとりにある、リバーウォークで、川を西へさかのぼります。リバーウォークの曲がりはじめる、2つの川が合流するところに、ひときわ目立つ近代的なビルがあります。150 ノース・リバーサイド・ビルです。

いままで見てきたビルから一転、2017年に完成した新しいビルです。54階建て高さ229m。そして、このビルの特徴は、その根元にあります。シカゴ川を渡って、ビルを横から見てみましょう。

高架鉄道が走っているあたり、わかりますか? 根元を拡大してみましょう

そう、ビルの根元が驚異的にくびれているのです。接地面のサイズは、幅約12m×長さ約36mしかないのです。地震の多い日本の感覚では「ありえない」設計ですね。ビル建築の規制で公共エリアを設けなければならないのと施主の希望するオフィススペース面積確保のため考えられた設計だそうです。
地震がないとは言え、風のの強い日が多いシカゴなので、ビル最上部に、「同調液体ダンパー」という、2つのコンクリートの水槽に水を張った制振装置があり、ビルが風で揺れると水が片寄り揺れを打ち消すように働くとのことです。
⑯ 333 ウエスト・ワッカー・ビル
150 ノース・リバーサイド・ビルの対岸、シカゴ川が直角に曲がる角に、川に沿うような形のビルが建っています。333 ウエスト・ワッカー・ビルです。

こちらも、外壁が緑がかったガラスで覆われた存在館のある近代的ビルで、1983年の完成。シカゴのポストモダンの先駆けとも言われているそうです。
⑰ トウモロコシ!? マリーナ・シティー
これは、もう以前のブログでも紹介したトウモロコシ風マンションです。説明は省略。

リバーウォークから上の道に上がって、ホテルのあるミシガン湖方面に歩いていると、リバークルーズの船が通りがかりました。

屋上に多くの観光客が座っています。船から建物を見るクルーズツアーもたくさん出ています。でも、歩いたほうが健康的でもっとたくさんの建物を見ることができます。
⑱ カーバイド&カーボンビル
今晩泊まるハンプトン・インのはす向かいにあるのが、カーバイド&カーボンビルという古いビルです。1920年代に一世を風靡したアールデコ調のビルで、1929年完成です。

外壁は、建物の外装は磨かれた黒色花崗岩。ところどころに金色の装飾があり、ビルの頂上には、金色に輝く尖塔があり、異彩を放ています。シカゴでは数少ないアールデコ調の建物だそうです。

こちらは別の角度から見た先っぽの写真です。
⑲ アクア
カーボン・ビルを通り過ぎて、ニュー・イースト・サイドという地区に、また特徴的なビルがあります。アクアというビルです。

外壁が波打っているような特徴的な外観の高層ビルです。女性建築家ジニー・ギャングによるもので、しなやかなデザインの82階建て262mのビル。14階までの下層階にはラディソン・ホテル、中層52階までは賃貸住宅、53階から79階はコンドミニアム、最上層の80階から82階は、ペントハウスとなっているそうです。
波打つテラスは、外観を特徴づけるとともに、最大3.6mの張り出しがあり、ミシガン湖の眺望を確保するためとも言われているそうです。
⑳ トランプ・インターナショナル・ホテル&タワー
今日のビル見て歩きはこれで最後です、言わずと知れた、トランプ氏が建てたビルで、92階415mで、ウィリス・タワーに次ぐ高さです。

特徴的な外観とともに、外壁に大きく”TRUMP”と看板がついているので、誰が見てもすぐにわかります。先細りのデザインは、建物の高さの割に圧迫感がないのも特徴でしょうか。
ホテルに帰着
外を5時間ほど、2万歩超のウォーキングでさすがに疲れて、アクアビルの近くのスーパーで夕食のサラダや総菜を買って、午後3時過ぎにホテルに戻りました。

ハンプトン・イン・シカゴ・ダウンタウン・ノースループ(長い!)です。部屋からの眺めは奇跡の抜け!

シャワーを浴びて、さっぱりしたあと、ジオラ・モードで写真を撮ったり、

スーパーで買ってきたサラダとターキー・チーズラップを食べたり、

日が暮れて、夜景を見たり楽しめる部屋でした。

長々と、シカゴの建物紹介におつきあいいただき、ありがとうございました。次回はシカゴでの大晦日から年越しの様子を紹介したいと思います。
コメント